2015年12月16日 会員専用ページの最初の記事として、吉迫会長がECUから入手した「環境カウンセラー制度改革提言のためのブロック意見交換会」後の各ブロック宣言を掲載します。暫定版です。
末尾に北海道ブロック宣言案があります。
ブロック意見交換会 宇都宮宣言
わたしたち環境カウンセラー全国連合会関東Bブロック協議会の環境カウンセラーは、変化する世界情勢や多様化する環境カウンセリングへのニーズに対応し、将来に亘って地域や事 業者などあらゆる主体から期待される、有用な環境専門家、コーディネーター、仲介者など であり続けるために、以下の提言を行うとともにできることから行動に移していくことを宣言する。
1. 危機感の共有 意見交換会での率直な感想をいえば、近年の環境カウンセラー登録者の千人単位での減少や、 都道府県での最大 5 倍に及ぶ登録者数の格差拡大などに代表される「現象」を、環境カウン セラー制度(以下、制度という)存立の「危機」とみるかどうかは参加者の意見の分かれる ところであり、認識に温度差が存在する。「絶滅シナリオ」、「絶滅回避シナリオ」、「繁栄シナ リオ」の提示、説明についても同様の反応であった。 しかしながら、今回のわたしたちの提言は、現状の表面的改革に止まるだけでは不十分であ る。現状の趨勢をみると、どうしても、「制度そのものが存在しなくなるかもしれない」とい う認識=危機感からスタートする必要がある。そのためには危機感の共有が必要であるが、これは誰かから強制されてそう思うという性質のものであってはならない。だからといって、制度が消滅した後になって制度を語っても意味はないであろう。そこで、「いま」わたしたち は制度の保全に関する「予防的な」処置として、危機感を共有する必要があると考えること にしてはどうか。 そのために、この宇都宮の地をスタートとして、全国での意見交換会において、このことが 繰り返し議論・検討され、多くの環境カウンセラーに共感される形で共有される必要がある。
2 .「い ま」 というタイミングの共有
周知のように 2015 年は 9 月の国連総会で SDGs(持続可能な開発目標)が採択され、これが2016-2030 年までの国際社会での環境保全の具体的な目標となる(17 分野 169 目標)。 当然のこととして環境カウンセラーの活動はこの国際的な環境目標の達成に貢献するという ことに焦点を合わせていくことになるであろう。つまり、今後 15 年間の世界共通の、国際社会が協力して取り組むべき、そしてわたしたちがそれを「地域」で実践することになる環境 保全活動の具体的目標項目が「いま」提示されようとしているのである。 このことに関連して、論理的な必然として、SD(持続可能な開発)のための E(教育)であ る ESD は、昨年、名古屋で採択された「ESD の 10 年」の次の行動指針である GAP(グローバ ル・アクション・プログラム)の具体的展開として、SDGs個々の達成を支援することが要求されるであろう。すると、今年度以降わが国の学習指導要領も逐次改訂されることになって いるので、小中高校の学校教育の現場における ESDは SDGsと新しい学習指導要領の整合性 の上に実施されることになる。 気候変動に対応するための国の適応計画も今月閣議決定され今年度から地域の特性に応じた 形で展開されていくことになる。二酸化炭素の排出抑制の基本となる 2030 年までのエネルギー別の電源構成や、温室効果ガスの排出量を 2030 年度に 2013 年度比 26%削減するという国 家目標も先頃政府から示された。さらに、新しい国土形成計画も今月閣議決定される。そし て数年後にはこれらを取り込んだ第五次環境基本計画も策定されるであろう。 このように「いま」はじまったこれらの新しい動きは、全体として国際社会の場から個別の「地域」にまで「一貫して」流れ込む「環境の新しい潮流」であると認識することが環境カ ウンセラーにとって非常に重要である。そこには環境カウンセラーへの新しいニーズとそれ にふさわしいニッチが存在しているからである。この好機・チャンスを逃すべきではない。 このように、新しい環境カウンセラーのビジョンを構築する上で最善のタイミングが「いま」 である。新しいニッチがすべて埋まってしまう前に環境カウンセラーが相当のニッチを得る ことが必要であり、そのときは「いま」しかない。このような環境カウンセラーの新しいビ ジョンを描くことは制度改革の基本である。理想の未来から現在を検討し、その在り方を見 直すバックキャスティング活動がわたしたちに求められていると考える。 全国での意見交換会において、このことが繰り返し議論・検討され、多くの環境カウンセラ ーに共感される形で共有される必要がある。
3. 改革の場の共有 制度は全国一律のものであるが、環境カウンセラーの活動は地域的であることが多い。この ことが制度の改革を難しくしている。環境カウンセラー活動が地域優先であるということは 仮にその活動が地域に完全に同化した場合、「全国一律の制度としての環境カウンセラー活動」 という看板が必要なくなることも意味しているからである。これは今回の意見交換の場で出 た「制度がなくなって困るのは誰か?」という問いかけにも通じるのであるが、地域におけ るこのような環境カウンセラーの独自の「進化」は制度不要論あるいは「制度がなくなって もとりわけ困らない論」に変化しやすい原因でもある。事実、地域ではその方がいくつか所 持する「肩書き」の、必要に応じた「使い分け」として「一時的に」環境カウンセラーを名 乗る「専門家」も多い。このような状況が積極的な制度改革の必要性の論議を「後退」させ る役割を果してきたとも考えられる。 また、環境カウンセラーが環境カウンセラー団体の一員として活動している割合は全体の半 数以下であり、多くは個人や環境カウンセラー団体でない団体の一員として活動しているという事実がある。このことも議論の場や現状認識のための情報共有という点などから制度を 正面からとらえて議論することを難しくしているのかもしれない。 結論から言うと、このような状況の中で、多くの環境カウンセラーが直接参加でき、制度の 改革を正面から議論し、改革案を提示できる場・組織は環境カウンセラーの唯一の全国組織 である ECU に限られる。 全国での意見交換会において、このことが繰り返し議論・検討され、多くの環境カウンセラ ーに共感される形で共有される必要がある。
1 )「 環境カウンセラー登録制度の在り方について(以下、報告書という )」に ついて
「 地域事務局」について
報告書の表 5 に示された課題を表 6 のように解決する組織として「地域事務局」が想定され、2019 年に全国 47 都道府県で一斉に稼働することが計画されている。報告書には記載されていないが、表 6 の内容からその維持運営費を推定すると最低でも一カ所あたり1000万円は必要であると推察される。全国では 4億 7 千万円が必要になることになる。これに対して、 収入についても報告書には記載がない。
5 年後以降、継続して全国一律に一カ所 1000 万円以上の収入を得るという計画は、わたした ちが環境カウンセラー活動に従事してきた経験上から現実的でないと判断する。
「 全国事務局」について
報告書においては、環境カウンセラーの課題を将来設立する地域事務局においてすべて解決 するという図式を描いているが、これまで 20 年近く活動してきた全国事務局の「課題」につ いては記載がない。わたしたちはこの点を重視したい。 制度は全国一律のものであるから、全国の環境カウンセラー活動のセンターとなる全国事務 局の活動や在り方に地域での環境カウンセラー活動が影響を受けることは当然である。しか し、問題はこのような建前論ではなく、逆に、全国事務局が環境カウンセラー活動への影響 力を失った結果、地域での環境カウンセラー活動「のみ」を進化させ、結果として全国制度 としての機能低下を招いたのではないかとの「疑問」があることである。 このことについては、報告書に記載がないので、全国事務局の課題、在り方については、わ たしたち環境カウンセラーが自分たちの問題として独自に議論・検討していく必要がある。 また、地域事務局をコーディネートする組織として位置づけられている将来の「全国事務局」 は年間3000万円程度の維持運営費を要すると想定されるが、この原資も収入も報告書で は記載がないのであるから、内容の再検討が必要であると結論する。
2 )「 自治体のための地域人材活用マニュアル〜環境カウンセラー編〜(以下、 マニュアルという )」について
このマニュアルは環境省から全国のすべての自治体に配布された画期的な環境カウンセラー の宣伝材料である。地域の環境カウンセラーは配布された部署に「営業」に出向く必要があ る。早期に、ECU 全体で活動することが効果的であると考える。
3 )全国ネットワーク・システムを利活用した環境カウンセラーの新しい地域拠点づくりの試行
環境カウンセラー活動は「地域」での活動が主体であるが、そのことは環境カウンセラー活 動が地域外部と完全に遮断され、全く単独で行われるものであることを意味するものではな い。実際、地域の活動においては地域内部の自治体や民間団体などとの「協働・連携」が活発に行われている。ここで、問題になるのは、それでは地域内部で活動する環境カウンセラ ーは地域外部に存在する全国一律の制度をどのように活用し得るのか、あるいは地域外部に 存在する全国一律の制度によって地域内部の活動がどのように活性化し得るのかという点で あろう。この問題意識は制度改革の根本的な立脚点である。このことが曖昧であればあるほ ど、全国一律の制度である必要性、根拠が揺らぐことになる。 そこで、わたしたちは、全国一律の制度を活かした「理想」の環境カウンセラー活動地域拠 点を試験的につくってみることを提案する。この「社会実験」の中で、「具体的に」これまで の制度の課題を解決する「道筋」を探り、かつ「理想」がどのように現実社会と折り合いを つけ得るのかを検証していきたい。 具体的には、年度内に会員団体を中心に地域拠点づくりの主体に手を上げてもらい、準備を始めて、来年度から試行を実施する。
4 ) ニーズを探るアプローチと成果の共有システムの利活用
『「いま」というタイミングの共有』で述べたように、環境カウンセラーが携わるべき環境の 新しい潮流は目の前に存在している。わたしたちがそこからニーズを確実に読み取り、実績 によって信頼を勝ち取り、かつ「環境カウンセラーにまかせれば大丈夫」という「ブランド」にまで育て上げるためには、環境カウンセラー個人や地域の一団体だけの力では到底無理である。
わたしたちに馴染みの深い例で言えば、環境教育等促進法第 8 条の「市町村の行動計画」の普及促進を支援する地域の専門家として環境カウンセラーはどのように行動することが望ま れているであろうか。「環境教育等推進協議会」の構成者にどのようにしてなるのか。「行動計画の作成等の提案」をする場合、どのようにしてするのか。行動計画の策定後の活動はど うようなものが求められるのか。行動計画の内容と国際的な SDGs(持続可能な開発目標)の 整合性をどのように提案していくのか。などなど、様々な課題に直面することが考えられる が、行動計画は全国すべての自治体に求められているものであるから、先進的な事例や活動、 あるいは共通の悩みは全国に存在する。この成果や悩みを共有化するシステムは、必然的に 地域を「超えて」存在するしかない。全国の環境カウンセラーが成果や悩みを共有出来るシ ステムの利活用が必要になる所以である。また、そのシステムを利活用するためには「タダ乗り」は許されないことになるだろう。ニーズの掘り起こしの段階から参加した者がその貢 献度合いによって成果を相応に享受できる方策も考える必要がある。 また、ニーズは環境カウンセラーの特長である多様な活動形態に対応して探し出されなけれ ばならない。ボランティアからビジネス活動まで。個人から団体活動まで。民間から公共の 領域まで。受託型から主催型の活動まで。子供への活動から高齢者への活動まで。いずれにしても、当面、ECU 全体で「新しい潮流」から「ニーズさがし」を開始しなければならない と考える。
5 ) 企業・ 組織内環境カウンセラーの利活用システムの創設
相当数の企業・組織内環境カウンセラーは、その身分のまま環境カウンセラーとしての活動 が可能である。しかし、そのためには、その企業・団体の内部ルールを改革する必要がある。 社会貢献の一環として、企業・組織内環境カウンセラーの利活用をはかるシステムの創設を呼びかけたい。このことは、環境カウンセラー登録者の増加にも通じるであろう(絶滅回避 シナリオ)。
6 )「環境カウンセラー補」の創設
高齢社会において高齢の環境カウンセラーが活躍すること自体は好ましいことである。しか し、できる限り若い世代に環境カウンセラー登録への門戸を大きく開放しておく必要がある のも事実である。わたしたちには後継者を育てる義務も存在する。制度が「持続可能」であ るためには必要な数の環境カウンセラーを毎年獲得するためのシステムが必要である(絶滅 回避シナリオ)。そこで、「環境カウンセラー補」の創設を提案する。 これは主に若年層をターゲットにしている。環境カウンセリングは「経験」の要素を重要視 せざるを得ないのであるが、「今後の経験」を先取りすることも必要ではないか。「必要な」 経験を「補」として積むことによって、「望ましい」環境カウンセラーになることができると いうことも合理性を持ち得るのではないかと考える。 したがって「環境カウンセラー補」は当初、知識、意欲を中心に選抜し、要求される一定の 経験を経て正式の環境カウンセラーになるというシステムである。 この制度の創設に当たっては当然、環境カウンセラーにとっての「望ましい」経験とはなに か、という基本的な問いかけをクリアしなければならないが、これはこれまでの 20 年間に培 われたわたしたちの知見と、「新しい潮流」の内容を勘案することで可能である。
以上
平成27年8月8日
特定非営利活動法人 環境カウンセラー全国連合会 関東Bブロック協議会
会長 渡邊 重宣
理事長 佐々木 進市
ブロック意見交換会 北上宣言
わたしたち環境カウンセラー全国連合会東北ブロック協議会の環境カウンセラーは、変化する世 界情勢や多様化する環境カウンセリングへのニーズに対応し、将来に亘って地域や事業者などあ らゆる主体から期待される、有用な環境専門家、コーディネーター、仲介者などであり続けるた めに、以下の提言を行うとともにできることから行動に移していくことを宣言する。
1.既存の登録者の目減りを防止しよう
環境カウンセラー登録者が毎年約 200 人減少していることについては、事実として受け入れざる を得ないのであるが、その原因を確かめることは必要である。 わたしたちにその正確なデータはないのであるが、経験的に気づくことがある。 それは「うっかりミス」による登録の失効である。このことは全国で聞く。 したがって、登録を辞める明確な意思、理由がないままに登録を失効する環境カウンセラーは全 国で相当数に上ると推察される。
毎年の報告、3 年ごとの更新手続きを「うっかり忘れる」登録者が「常に」一定数存在すること は紛れもない事実であり、これを本人の自己責任として一律に切り捨てるか、このような目減り を防止しようとするかで登録者の減少数に大きなちがいがでてくるだろう。 わたしたちは後者についての対策を提案する。
(事前通知と救済措置) 報告書提出期限、更新申請書提出期限の以前に全国事務局からメール、はがき等で期限を順守す るための事前通知を出すことによって、注意を喚起することができる。 また、それでも、期限を過ぎてしまった登録者には一定の猶予期間を与えるルールを創設する。 このことにより、全国事務局の事務量は増大するが、社会通念上過大な事務内容であるとは思え ない。むしろ、全国事務局の役割として、登録者を適正に維持管理する上で必要な事務であると 考える。
2.新規登録者の獲得を戦略的に実施しよう
(数値目標)
たとえば、平成 28 年度の募集以降、毎年 200 人ずつの増加に転じて、5 年後にはこれまでの1 000人減少を元に戻すというのが、絶滅回避シナリオの数値目標として考えられる。仮に合格 率を40%、毎年の減少者数を 200 人、増加数を 200 人とすると、実際の登録者数は 400 人必要であるから、応募者数は全国で1000人必要であることになる。
すると、ECU 加盟団体がおのおの約 30 人の登録支援を目標にすることも考えられる。
(登録者の属性をとらえる)
年代別では、定年退職者、在職者では定年退職予備軍、会社役員、自由業者などに対象を分けて、 それぞれに訴えかける募集広告を作成することが考えられる。
(企業・団体への働きかけ)
企業内で募集してもらえるような仕組みをつくる。 各種の資格者団体内で募集してもらえるような仕組みをつくる。
3.ニーズをアピールしよう
登録者の募集に当たっては、環境カウンセラーへの社会的ニーズがあることを十分にアピールす ることを並行して行わなければならない。社会貢献で得る何らかの「メリット」を提示できなけ れば、そもそも応募意欲がわかないであろう。
(具体的な事業、活動の提示) 具体的な事業名、活動名を提示する必要がある。
(具体的な事業、活動を実施する力量向上のための専門研修) 現在の研修は初回以外任意参加で、無料である。環境カウンセラー全般を対象とするためには、 これは今後も継続することが望ましい。 今後はこの研修に加えて、個別具体的な事業、活動に対応した専門研修を実施することを提案す る。この場合、「受益者負担」が考えられるので、有料とすることが適当である。 この有料・専門研修を環境カウンセラーのメインの研修として位置づけることにより、専門的力 量の保有を社会的に証明・保証できるので、研修を受けた環境カウンセラーの活動が促進される。
付帯意見
1)全国事務局は環境カウンセラーに「好意的」に接するべきである。
2)「報告書」の「地域事務局」は内容について評価できるだけの情報が提示されていないの で、可否を問われてもここでは判断できない。
3)法律、条例、その他の公的文書に「環境カウンセラーを積極的に活用すること」の文言 を盛り込むように働きかける。
4)環境カウンセラー個人で受注できない業務について、共同で受注できる方式を開発する。
5)地方自治体の環境審議会等の委員として、環境カウンセラーを活用するよう働きかける。
6)環境カウンセラー団体は、市民部門の赤字を事業者部門の収益で補填することで経営が 成立している、との通説があるが、今後は、事業者部門、市民部門という分類を越えて、環 境カウンセラーの活動全般において、なんらかの「見返り」があるような、団体活動の新し い「経営モデル」を創出しなければならない。これによって団体の成長力を高める必要があ る。
7)環境カウンセラーの合格率は以前より、低くなっているが、意図的なものと誤解されな いために、論文、面接の審査基準を「ある程度」明確にすべきである。
8)環境カウンセラーはオールマイティをめざす必要はなく、例えば環境教育等促進法にあ るような環境における事象間の「つながり」を重視する「新しい専門性」を目指すべきである。
以上 平成27年8月29日
特定非営利活動法人 環境カウンセラー全国連合会 理事長
兼東北ブロック協議会長 佐々木 進市
(内容確認) 特定非営利活動法人 岩手県環境カウンセラー協議会 理事長 林 俊春
1.事業所内環境カウンセラーの活動機会を創出しよう
・「兼業」にならないような社内制度
・業務命令としての環境カウンセラー活動
・企業との連携によるモデル事業
環境カウンセラーの減少を抑制し、増加に転じさせるための、人材ターゲット しては、活動を自由に行うことができるリタイヤ組の高齢者層を狙うことは当 然であるが、それだけでは高齢化の防止や後継者の確保といった問題を解決で きない。そこで、ぜひ、現在就労中の中堅層を環境カウンセラーとして活用す る施策が必要になる。
そのためには、環境カウンセラー活動が「兼業禁止」を建前とする服務規程違 反にならないような、労働基準法等を踏まえた就業規則上の新しいルールを作 っていく必要がある。基本的には、その企業や組織の業務命令として、環境カ ウンセラー活動があるような仕組みが望ましい。 そのために、幾つかの企業や組織と連携したモデル事業として、環境カウンセ ラー活動を取り組んだ社内業務を開発する。 愛知県の工業出荷額は全国第一位であり、我々との連携に理解を示してくれる 企業・組織も多いと思われる。
2.環境カウンセラーの基本的な位置付けを見直そう
・「慈善事業」、「ボランティア活動」一辺倒への疑問
・「報酬」を前提とした活動拡大
環境カウンセラー登録希望者は面接会場で、面接官より環境カウンセラーの活 動は「慈善事業」、「ボランティア活動」であるとの一位置付けを示されること があり、その経験を共有するものは少なくない。 もちろん、そのこと自体を否定するものではないが、この際、この一方的な位置付けを排して、並行的に「報酬」を前提とした活動の拡大を目指すべきである。ECUで30分5千円から 1万円などの報酬基準を公表し、同時に全国の環境 カウンセラーの品質の平準化も行う必要がある。
「慈善事業」、「ボランティア活動」だけで、環境カウンセラーの魅力作りを行 うことは不可能と認識するべきである。
3.試験制度を改善しよう
・面接官の資質向上
・小論文テストの面接会場での実施
環境省は試験官の資質についての基準を公表するべきである。「こんな人が?」 と思われる方が面接官であることがないようにしよう。 登録希望者の能力を判定する上で、文章を書かせることは重要であるので、面 接会場での小論文テストを追加することを提案する。
4.人材の確保と品質の保証ができる体制作りをしよう
・「専門分野」の見直し
・研修制度の再検討
・ECU及び会員組織での人材データベースの構築
時代の要請や活動範囲の拡大に伴って、活動すればするほど「専門分野」とい うものに変化が生じてくる。それはまた、その時々の「環境カウンセリング」 の定義と深く結びつく問題でもある。 その時々の社会ニーズにマッチする専門分野の見直しが普段に実施されなけれ ばならないが、当面、ECU を構成する30団体が合同で自主的に実施していくこ とが望ましい。もちろん、その過程で環境省と連携することも必要である。
専門分野の見直しは当然、専門研修の実施問題に直結する。現在の実施規程で は年一回の研修実施が定められているが、これは、必ずしも品質を維持向上さ せるための必須の専門研修ではない。
そこで、研修修了を公表できるという前提で、国に予算がない場合は有料のも のであっても構わないから社会ニーズにマッチしたテーマを絞った専門研修を 実施する。
専門研修の実施主体は、全国的な研修の統一性も考慮して、ECUを構成する地域 の環境カウンセラー団体が望ましい。
5.環境カウンセラーの戦略的な地域配置を考えよう
・基本地域としての「市町村」
・市町村とのさまざまな連携
環境カウンセラーの「配置」を考える場合の基本となる地域は「市町村」が望 ましい。 その中で教育分野ではさらに「学区」、生態系分野では「水系」などの単位に分 けられることは当然である。また、ある場合は、市町村を超えた広域の地域単 位が必要になることもあるが、その場合であっても、基本が「市町村」である ことはその妨げにならないと考える。
一つの市町村に何人の環境カウンセラーが存在することが望ましいかは、その 市町村の実情による。また、学区単位などを活用する場合は、その校区に一人 以上などという基準が設けられることになろう。 いずれにしろ、その配置は地域の属する環境カウンセラー組織を中心に、地域 を良く知る環境カウンセラーの意見を聞いて行われることが望ましい。
市町村の担当者は「移動」が前提での勤務である。これに対し、地域密着の環 境カウンセラーは「専従サポーター」としての機能を有しているから、地域に おける環境行政事務の継続性を補完することができる存在として貴重である。 そのため、環境カウンセラーは市町村における各種環境関連の委員会等の委員 として常態的に活動することや、随時、一定の調査業務等を受託するなどの体 制を整えることが必要である。 しかし、個人では公的な受注は難しいので、地域の環境カウンセラー組織の受 注能力(受注から納品までの全工程)を高めること、あるいは、ECU が地域の行政事務を受注する仕組み作りをすることは重要である。
【付帯意見】
1.ECUによる地域事業の受注と地域環境カウンセラーの参加
・テーマを決めて受注する
・積極的に仕事を取りに出る 公的な委託業務の受注は地域の環境カウンセラー組織ではなかなか難しい。 納品まで責任を持って対応出来る能力に欠ける場合もある。もちろんそうでな い場合もあるが。
何れにしても、我々は ECUを構成しているのであるから、「ECUとして」受注で きる道を作っておきたい。
2.更新の親切な案内 不注意によって、登録が失効してしまわないために、特に全国事務局は注意を 喚起する行動を取ってほしい。地域組織が注意喚起することは当然である。
3.ESDの難解性と環境カウンセラーへの期待
ESD は「総合的学習の時間」の時よりも、現場教師にわかりづらい。このことが ESD の普及を妨げているので、この際、環境カウンセラーは ESD普及促進支援活 動を学校の現場で行うべきである。
4.エコピープルとの連携の強化
エコ検定のテキスト作成委員会に、ECU理事長はじめ、数名の役員が参加してい ることは周知の事実であるが、それはそれとして、全国のエコピープルと環境 カウンセラーとの連携強化を図るべきである。
1.環境カウンセラー予備軍のターゲットをテーマごとに絞り、効果的な登録を 推進しよう
環境カウンセラーを増加させ、その増加が効果的であるために、温暖化、生物 多様性、ESDなどテーマごとに予備軍のターゲットとなる層を特定してもいい のではないか。 例えば、温暖化対策に携わっている層であれば、温暖化対策推進員に呼びかけるなどが考えられる。
また、地域の環境カウンセラー協会はそう言った既存の層へ働きかけるだけで なく、自分の組織内に積極的に環境カウンセラー予備軍を会員として取り組ん で行き、環境カウンセラーに育て上げていくという姿勢も大切である。
ECUにおいては、その会員に、法人準会員制度や、個人準会員制度を設立して 組織の裾野を広げることも必要だ。 同時にECUの自前の環境カウンセラー予備軍とも言える環境教育インストラク ターは、その全国的なコミュニティづくりが急務である。環境教育インストラ クターを通じて地域ともつながることは環境カウンセラー活動の活性化につな がる。そのため積極的に全国で「録資格取得セミナー」を実施して、環境教育 インストラクターを増やしていく。
事業者との連携による環境カウンセラー増加策の例としては、企業・組織に一 定数の環境カウンセラーをいることを目標にしてもらい、環境レポートで公表 するなどが考えられる。
2.環境省は環境カウンセラー支援を積極的に行うことが必要だ
あまり「認定すれども支援せず」を「明確」にされても困る。「募集要項」で「仕事を紹介しません」とわざわざ言う必要があるのか、別の言い方もあるの ではないか、という不満の声も聞こえる。
注:原文「この制度は、人材登録制度であり、国家資格ではありません。また、 登録された方について活動の場を保証する制度でもありません。」
これからは、むしろ、環境省とECUの連名で、地方自治体に環境カウンセラー 活用の要望書を発行するなど、環境カウンセラーと環境省一体になって積極的 に環境カウンセラーの活用を第三者に働きかけていくことが必要だ。
3.環境カウンセラーが地域で活動する「単位」を明確にしよう
地域づくり、地方創生、地域の時代という観点からも、地域密着型の環境カウ ンセラーのあり方を積極的にイメージしていくことが必要になる。 これからは、地域密着型が環境カウンセラー活動の基本であることを前面に出 していきたい。「地域」は「市町村」がその単位となる。 環境カウンセラーの活動は地域ではあるが「孤立」した地域ではなく、活動す る地域の全国ネットワークを「ECU」という形で作り、それを全国の環境カウ ンセラーが活用することで、地域環境カウンセリング活動がさらに活性化する という方向を目指したい。
4.報告書にある「地域事務局」について
「地域事務局」は最初から設立しても意味がないと思われる。 まず、その「母体組織」を作り、「実態的な活動」を開始していくことが必要 で、ある程度の実績が見込まれる段階で「地域事務局」に昇格するという段階 的設立を目指すのであれば、現実的だ。 活動がほとんどない形だけの「地域事務局」を作っても「時間稼ぎ期間」が過 ぎれば実態がないことがバレてしまうだけのこと。環境カウンセラー制度の発 展のためには、逆効果である。
5.更新忘れの救済制度を作ろう
更新手続き失念による登録者数の減少を防止するため、更新期間の過ぎた人へ の救済処置を設けるべきである。自動車運転免許証と同じ感がえである。 また、市民部門、事業者部門の2つの部門を持っている人の登録期間を揃える ことが必要だ。このことによって部門別に更新する手間が省け、いっぺんで更 新が済むようになる。
6.環境カウンセラーの情報公開を積極的にしよう
現在の環境省ホームページでは、この人に頼もうというときの情報量が足りな いという声が多い。 全国統一フォーマットを作り、ブロック単位、都道府県単位などで活動紹介を することを考えたい。当該環境カウンセラーに対する所属協会からの品質保証という側面もある。これは当面、ECUのホームページを利用して公開するとい いだろう。
【付帯意見】
1.環境カウンセラーが積極的に取り組むべき活動の例として次のものがある
「指定管理者」になる
「パブリックコメント」を出す
「公募」へ応募する
「請願」を出す
2. ECU、環境カウンセラーを応援してくれる超党派の地方の、あるいは国会の 議員と積極的に交流しよう
3. 実際はあらゆる社会の活動が環境を抜きにしては成り立たないにもかかわ らず、「環境部署」だけが一所懸命に動いているように見えるのはおかしい ので、企業でも役所でも学校でも一定の立場の人に環境カウンセラーになる ように社会に働きかける必要がある。
1.環境カウンセラーの位置付けについて見直そう
環境カウンセラーはボランティア活動をするものであるという決めつけがある ことがそもそもおかしいのであって、そこにとらわれている限り、環境カウン セラー制度の発展もない。 したがって、制度改革の要点としては、活動の対価としての「報酬」について、 しっかりと位置付けのある制度にするべきである。
「環境大臣の登録」をもっと前面に出した宣伝をするべきである。 当然、環境省自体が環境カウンセラーをもっと支援するべきである。 環境省は自身が期待する環境カウンセラー像を明確にするべきである。
2.地域格差を是正しよう
日本のすべての都道府県に環境カウンセラーを一定数配置する必要がある。そ ういう戦略的発想が必要である。
3. 環境カウンセラーをもっと増やす工夫をしよう
・登録条件の緩和 登録のための経験年数が新規に経験を積む人の立場になったら厳しすぎるので、 これを緩和する必要がある。
・段階制度・ステップアップ制度 経験は「ってから積む」という順番もあるのではないか。 医師のインターン制度は参考になる。 例えば、一、二級。最初は二級で合格し、一定の経験を積んで一級という二段 階制度はどうか。このようにすれば、現在は曖昧な環境カウンセラーに必要な 力量条件を明らかにせざるを得なくなるであろう。
・地域の資格等制度との融合 都道府県単位でそのステップアップのストーリーを作ることも実際的だ。
都道府県、市町村独自の「環境マイスター」などの制度がかなりあるので、その中に環境カウンセラーを組み込むなどが、地域で他の人々と連携して活動す る上で実際的で、有効だ。
・試験機会の増加 試験会場を全国にもっと増やすことで、登録者数を増加させることができる。 合格率を上げる
・更新しない人を減らす 更新しない人の意識調査が必要だ。原因を除去する事で更新を推進できる。
4. 若者を取り組む工夫をしよう
エコ検定並みに、若者が所属事業者の業務命令で登録をするような制度設計が 必要だ。
5. 環境カウンセラーの取り組むべき分野について
国の未来を作る子供への教育は一番大切であるから、学校の先生が出来ない、 あるいは苦手とする「環境教育」を環境カウンセラーが現場で支援するという ことは国益につながるので、ぜひ活動したいマーケットである。
6.環境カウンセラーである事を条件とする業務を創出しよう
環境省など国の発注業務のうち、環境カウンセラーであることを条件とするも のを作る。 そこから発展させて、地方公共団体の発注業務に拡大していくことが必要であ る。
【付帯意見】
1.このままだと地域の協会もあと5年持たないで崩壊するのではないか。 制度の存続と、環境カウンセラーの激減に大変な危機感があるので、早く、人 を増やす手を打つべきだ。
2.登録のハードルを下げ、報酬を出すようにして登録者を増やすことが必要だ。
3.環境省がこのような環境カウンセラー激減している状況をなぜ放置してい るのか、環境カウンセラーをどうしようとしているのか、考えを知りたい。
4. 全国の環境カウンセラー活動に精通しているECUが全国事務局をやるべき だ。
5. 若い人が登録でき、登録を希望する制度にすることが絶滅忌避につながる。
横浜ではグループ単位で宣言を発表する。 全体としての意見を集約することが時間的にできなかったため。
グループ A 1.基本認識:危機感を共有しよう
登録者数の減少に危機感を感じ、それを関係者で共有することが重要だ。
2.登録者数減少の原因を除去しよう
・申請条件の緩和
・面接での低い合格率の是正 申請条件が厳しすぎる。本当にその条件が必要か、個々の条件を再吟味する必 要がある。また、面接で落ちる率が高すぎる。面接の位置付けを再検討する必 要がある。わざわざ東京、大阪に呼んでおいて大勢をいっぺんに落とすという のは申請意欲を失わせる元になるのではないか。面接に呼ぶ前に、もっと、選 別できないのか。 総じて「門前払い」的な申請条件であるという印象であるので、この点を改善 し門戸を広げることが必要である。
3. 環境カウンセラーの魅力づくりを考えよう
・身分法での位置づけを目指す
・環境教育等促進法第8条の「行動計画」作成など行政事務への恒常的参画 長期的には環境カウンセラーを国家資格に格上げしてくよう運動する。 全国の市町村で行政からコンスタントに仕事を受注できる、あるいは各種委員 会、協議会などの委員として常に行政に参画できる、というような「魅力的な 状況」を作り出す必要がある。 特に環境教育等促進法第8条の「行動計画」については、地域密着型(市町村) の環境カウンセリング活動の対象として、基本中の基本であるので、活動計画 の作成に積極的に関与していくのが良い。
4. 「全国区」の活動で知名度を向上しよう 登録者数を増加させるため、また、地域密着型の活動を成功させるためにも環 境カウンセラーの知名度を向上させることが必要である。そのためには、逆説 的であるがマスコミも取り上げるような「全国区」での活動が必要であるので、 それを開発する。
5. 業務提案型営業活動をしよう
「待っていても仕事は来ない」のだから、自分たちで業務を開発して相手先に 持っていくということが大切である。
グループ B 1.基本認識:子供への環境教育の重要性
環境カウンセラーの業務対象は広く深いが、基本的なものに子供への環境教育 がある。ここは外せないので、他の専門家に負けないようにしっかり取り組ん でいく必要がある。
2. 知名度向上策を考えよう
・「環境カウンセラー」という「文字」の露出度を高める 例えば、横須賀市役所では環境教育指導者指名の要件に「環境カウンセラーで あること」が明記されている、ということがある。 このようなことを、全国的に市町村レベルで拡大していくことが必要である。
3. 「団体のメリット」を生かすための地域環境カウンセラー協(議)会の強化
協会活動の真価は「会員が集合して会議をすること」ではなく、構成員に活動 する機会とメリットを与えることである。
「団体でなければできない何か」を真剣に考える必要がある。
門戸を広げることも必要で、環境教育インストラクターにも積極的に会員にな ってもらうよう勧誘する必要がある。
4. 特に市民部門の申請者への登録支援をしよう
・地域協会は証明機関になろう
「実務経験証明書/活動実績証明書」の第三者による証明が、特に市民部門の登 録希望者にとって大きな壁になっている。 地域密着で活動している人こそ環境カウンセラーにふさわしいのであるが、そ ういう人は多くの場合、会社員と違って、活動を証明してくれる上司がいるわ けではないので、申請時に大変苦労する、あるいは、申請を断念するというこ とになる。 そこで、地域の協会が「証明機関」になって登録者を増加させるということが 必要になる。
6. 募集期間の延長と募集要項の早期発行をしよう
募集期間が7月1日から8月14日までの一ヶ月半で、募集要項は募集開始ギ リギリで発行されるというパターンを繰り返している現状では、登録してもら いたいのかどうでもいいのかわからないともいえそうである。 今後は募集期間を延長し、募集要項も早期に発行していくものとする。
グループ C 1基本認識:危機感を共有しよう
登録者数の減少に危機感を感じ、それを関係者で共有することが重要だ。 環境カウンセラー制度の課題や問題点は今明らかにする問題ではなく、ずっと 以前から明らかであり、その問題が「塩漬け」になってきたのであり、その間、 関係者には環境カウンセラーを活用する、力量を向上させるという積極性が感 じられなかった。 今、私たちECUが中心になって、その解決をしなければならないということだ。
2. 環境カウンセラー制度に「組織的活動」を盛り込もう
現在の制度では、個人としての環境カウンセラーについて規定があるが、団体、 組織としての活動についての言及は皆無である。
「売り込む」と言っても個人の力で、勝手にやれというのか。実態は逆であっ て、望まれているのは「組織的な環境カウンセリング」である。
「地域に根ざした組織的環境カウンセリング活動」というコンセプトが大切な のである。 このような活動を通じて、地域の市町村の「フトコロ」に入ることが大切で、 それを何年もかけて積み重ね、お互いの信頼関係を気づくことが重要であり、 これは組織であることで可能になるのである。 また、組織として「政策提言」していくことは基本的に重要であり、特に「上 流部」での政策提言をしていく必要がある。 また、全国事務局はECUが引き受けることが望ましい。
3. 申請者の合格率を上げよう
登録車を増加させる方策の一つは、合格率を上げることである。
4. 二段階の制度設計をしよう
裾野を広げて、かつ品質を向上させるために「合格してから力量を向上させる」 制度づくりが必要である。
グループ D 1基本認識:地域における環境保全連携の要になろう
ユース層の取り込みと地域自治体との連携は急務である。
ユース層特に大学生からエコピープルになり、環境教育インストラクターにな って、環境カウンセラーになる、と言った一連の流れを作ることが大切。 その過程で、大学、企業・組織、市町村などと地域における環境保全の連携体 制を作っていくのが、我々の戦略でなければならない。
2「アクティブラーニング」による環境教育・ESDを推進しよう
「入りやすさ」からすれば、ユース層としては「地域の大学」をターゲットに することが考えられる。 その際、OECD、文科省も共通に推進している「アクティブラーニング」につい ての力量向上は避けて通れないので、専門研修を開催すべきである。
3地域における「環境資格等」との連携
市区町村には「環境教育リーダー」など独自の環境資格等があることが多い。 環境カウンセラーはこれらの資格者と「共存する」だけでなく、「連携する」 ことによって彼らを環境カウンセラー予備軍として位置付けることが登録者の 増加につながるし、地域の専門家のネットワーク形成という面でも、地域の利 益になる。 そのような連携の主体は、全国的にはECUであり、地域的には地域の協会であ る。
本ブロックの宣言は「近畿ブロック宣言」と称する。 意見交換会は今回をスタートとして、次回も来年開催することが合意された。
グループ A 1基本認識:行政との連携の重要性
活動内容には地域差があるが、環境カウンセラーにとって市区町村とのつなが りが重要という点は共通する。 また、地域の事業者との連携も、地域の行政との連携と別個に行うものではな く、相互の関連性を意識した環境カウンセリングであることが大切である。 例えば、事業者のCO2排出量の削減への支援も基本的には地域の削減計画の範 囲で実施するので、官民の環境保全活動が相互に関連することは自明である。 その中間で環境カウンセラーが活動するという状況であれば、「仕事」は潜在 的に存在していると言えるので、そこを市場と認識して、入っていくことが重 要だ。 法律であれば、環境配慮契約法やグリーン購入法など、官民を結ぶ法律を環境 カウンセラーが活用して活動することも考えられる。
2. 活動は市町村単位を大切にしよう
「環境の時間軸」を持っていることが、「土着型」の環境カウンセラーの「強 み」である。一定の地域の歴史、文化、社会、経済、環境などに長年にわたり 関係し、理解し、データを収集している環境カウンセラーはその地域で「なく てはならない人」になることができる。 行政の担当者や事業者の担当者は移動するが、地域の環境カウンセラーは変わ らないので、「連携した活動の継続性」を環境カウンセラー、あるいはその地 域組織が担保しているとも言うことができるから、ぜひそういう存在になるべ きである。
3. 環境カウンセラー制度は有料であっても維持しよう
「更新」は有料でも構わない。 品質保証、力量確保のための「更新研修」は実施するべきである。
(注:通常の年一回の研修については、「有料化」について賛否が分かれた。 また、登録料については話し合われなかった。)
4. 特に、事業者部門に若い人が参加できる制度をつくろう 事業者部門がリタイヤ組の高齢者ばかりでは発展性がないので、現役の方に登 録してもらいたい。そのために、必要な制度設計をすることが大切だ。
5. イメージ戦略として統一「ロゴマーク」やパンフレットパンフレットをつく ろう 環境カウンセラーの全国統一のロゴマークを作ることは、イメージアップにも つながるのでぜひ実施することが必要だ。 また、宣伝用のパンフレットの作成も必要である。
6. 報告書にある「地域事務局」について 収入と支出などの「事業計画」が不明で、現実的とは思えない。47都道府県 に5年後設置は無理と思う。都道府県やEPOとの連携などをベースに再考する 必要がある。 都道府県へはカウンセラーとの窓口を開設することを要望すべきである。 地域の協会はその窓口を活用して活動範囲を拡大することことが大切だ。 市町村も大切だが、その前に、都道府県との連携を深めておく必要がある。
7. 多くの関連省庁との連携を視野に入れた戦略を練ろう 環境関連省庁は環境省だけでないのであるから、幅広く連携を企画することが 必要だ。例えば、厚生労働省関連で来年施行される労働安全衛生法の化学物資 のリスクアセスメントは環境カウンセラーの化学専門の人にはマーケットにな る。
同様に国土交通省、経済産業省、農林水産省、文部化科学省などの事務につい て参画を企画することが重要である。 それらは、結局、地域、市町村において実行されるのであるから、地域の環境 カウンセラーのマーケットになるのである。 国際社会、国家、地域は法律や予算でつながっているので、地域にいてもそれ らの流れと無縁ではなく、むしろ、実行の場は地域なのであるから、仕事を得 る上では、「域密着型の環境カウンセラー」は有利なことも多いと認識するべ きである。
【付帯意見】
1. 環境カウンセラー制度が廃止になると困るか、のアンケート 大阪府の協会より、環境カウンセラー制度廃止となった場合の、困窮度につい てのアンケート結果の報告あり。 事業者部門の方の回答:制度はなくなっても困らない。 市民部門の方の回答:制度がなくなったら困る。
1.現状の認識
登録者数が減少し続け、制度の「移管」まで予想される現状は、大変危機感を 抱かせる状況である。
2. 登録者数を増加させるために、面接を土日の北海道でやろう
東京までわざわざでかけなければならない特別の理由はない。地元北海道なら 申請者も増えるだろう。 また、会社勤めの人の場合、今の制度だと、休みを取って会場に出かけること になるので、土曜、日曜に面接を設定することにより、面接を受けやすくなる から、登録希望者も増加する。
3. 環境カウンセラーの位置づけをはっきりさせよう
「繁栄シナリオ」に乗れない根本原因は、環境カウンセラーの「位置づけ」が はっきりしていないことである。
「環境カウンセラー」という名称は「肩書き」なのか「実力認定」なのか、「ボ ランティア」なのか「報酬を前提とした仕事」なのか、コンサルタントなのか 傾聴者なのか、などなど環境カウンセラーの中でも意見が分かれるようでは、 他人に説明することができないのは無理もないではないか。 この際、制度の見直しの中で、それをはっきりさせよう。
4. 「肩書き」に使うもの、かつ、内容は「ボランティア」というイメージを払 拭しよう
「環境カウンセラー」の名称が必要な時だけ使う「肩書き」で、かつ、活動の 内容が「ボランティア」のみ、であるならば、登録者は増加しない。 そのような人は限られた人数であり、「繁栄シナリオ」に乗ってくる人たちは それとは「違うもの」を求めているからである。
その「違うもの」が、例えば「報酬を前提とした仕事」であれば登録者の増加 に寄与するであろう。 位置づけも含め、これまでと違うはっきりしたイメージを作る必要がある。
5. 環境カウンセラーは「専門性」を前面に出そう
環境とは「つながり」という側面を持っているから、「私はこのことしかわか りません」と言った「孤立した専門」では困るが、そうは言っても全くの素人 では環境カウンセリングが成立しないことも現実である。 そこで、環境カウンセラーとしての専門性とは、「つながった全体(環境)」 についての専門性であると広く定義して、次に「つながった全体(環境)にお けるある部分について「特に」専門性を有する人材」として、環境カウンセラ ーを位置づけることにしたい。「つながり」と「専門性」を環境カウンセラー という存在において一体化させるという仕組みである。 また、オールマイティの専門家はいないので、この場合でも「全体性の強い事 案」に立ち向かう時には、「環境カウンセラーのネットワーク」を使って、異 なった専門性を有する環境カウンセラーの「チーム」として行動することが必 要である。
6. 「資格要件」に「環境カウンセラー」を入れるよう働きかけよう
行政や事業者の業務依頼、発注の条件の中に、当該者にある一定の資格を要求 する場合がある。必ずしも、国家資格とは限らない。 例えば、グリーン購入法における「基本方針」の「省エネルギー診断」では一 級建築士、技術士などの技術資格を有する者「若くはこれと同等と認められる 技能を有する者」が診断業務を行うことができる。環境カウンセラーも「これ と同等と認められる技能を有する者」と認められれば業務を行うことができる のである。「認められ方」が課題となる。 また、(公財)日本生態系協会認定の「ビオトープ管理士」は国家資格ではな いが、環境省、国土交通省、農林水産省、多くの都県の仕様書において、「技 術者」、「指導者」、「有識者」とされており、指名競争入札における「保有 資格」として認められている。
現実には環境カウンセラーには一級建築士も技術士もビオトープ管理士もいる のであるが、今後は「環境カウンセラー」登録者自体が「保有資格者」となる ように働きかけていくことが、「繁栄シナリオ」になると思う。
7. 多様な専門性の力量評価を私たちの全国組織であるECUでやろう
多くの既存の発注業務において、あるいは「適応計画」などこれから新しく地 域で展開される業務において、「専門性を有する者」として「売り込んでいく」 ためには、まず客観的な力量評価が必要である。 これまでECUでは環境教育の専門性評価事業として「環境教育インストラクタ ー」の認定を行ってきた。この事業は、環境大臣登録である。 この経験を生かし、今後環境カウンセラーが業務を行う際に必要になると思わ れる「専門性」を整理して、もっと多くの種類の人材認定を行うことが必要で ある。認定は「保有資格」として社会的に通用するレベルを目標にする。 同時に、その認定を「保有資格」とするよう社会に働きかけることは当然であ る。
当面考えられる認定として、
(仮称)化学物質リスクアセッサー
(仮称)特定外来生物調査スペシャリスト
(仮称)ハウスシック診断士 などを提案する。
講習会、講師などは地域協会の支援のもとにECUで用意する。
8. 研修の有料化について、議論を深めよう
更新、登録についての研修は、ともに有料、無料の意見が拮抗している状況で ある。これは、今後の制度のあり方に直結しているので、現在の研修について の議論ではなく、将来の研修のあり方として論じるべきであり、さらに議論を 深めていく必要がある。 何れにしても、研修のあり方は、「環境カウンセラーに必要な専門性とは何か」、 という問題を抜きにしては語れない。
そこでのコストを誰が負担し、回収するのかという問題にもつながる。
9. 北海道での環境カウンセラーの適正配置を考えよう
環境カウンセラーを市町村に最低一人配置すると仮定すれば、北海道では17 9名の環境カウンセラーが必要ということになる。 実際は環境カウンセラー不在の市町村が存在する。また、現在の協会内におい ても、会員が全道に分散しているため、内部の集会や交流もなかなか難しい状 況である。北海道は日本国内では例外的に大きな行政面積を持っているので、 人口を考慮しなければ、複数の協会、あるいは地域支部といった形で環境カウ ンセラー組織が活動した方が、地域サービスの点からもいいのかもしれない。
「地域事務局」の設立という場合も、実際に機能する「地域」と「事務局」と は何か、維持コストも含めて考える必要があり、「国内一律のモデル」が成立 するかどうかは疑問である。
10. 「マイ自治体」を持とう
環境カウンセラーは自分の居住する、あるいはよく行く、その環境全般をよく 知っている「マイ自治体」を持つべきである。そのことによって、地域から信 頼され、頼りにされ、ひいては業務につながるマーケットが形成されていく。 環境カウンセラーのネットワークが「マイ自治体」のネットワークでもあるこ とが、環境カウンセラーの「特色」として「強み」になるだろう。
【付帯意見】
1. 今の環境カウンセラー制度の移り変わりの流れを見ていると、「樹木医」制 度が民間に移管されたパターンとよく似ているので、参考にすると良い。
2. 環境省の環境カウンセラーのホームページへのアクセス数、依頼件数などを 公開すべきである。公開しない理由があるのか。